2026年9月13日

こんにちは。みどりの丘歯科医院の鹿山です。
今回は治療のお話から少し離れて、私自身がなぜ歯周病を専門に学ぶようになったのか、そして現在どのような考えで日々の診療を行っているのかについてお話ししたいと思います。
「歯を残す」ということを深く考えるようになった
歯科医師の仕事には、むし歯の治療、根管治療、被せ物、入れ歯、インプラントなど、さまざまな分野があります。
その中で私が歯周病を専門に学んできた理由の一つは、患者様ご自身の歯をできるだけ長く残すためには、歯を支えている組織を健康に保つことが欠かせないと考えたからです。
どれだけきれいで完璧な被せ物を入れても、どんな機械を使用してどんな精密な治療を行っても、その歯を支えている歯ぐきや骨が健康でなければ、長期的に歯を守ることは難しくなります。
歯周病は、歯そのものではなく、歯を支えている歯ぐきや骨に起こる病気です。
しかも、むし歯のように強い痛みが出るとは限らず、自覚症状がほとんどないまま少しずつ進行することがあります。
「痛くないから大丈夫だと思っていた」
という患者様でも、詳しく検査をすると歯を支える骨が大きく失われていることがあります。
この「気付かないうちに進行する」という歯周病の特徴を知るほど、早期の診断と適切な治療、そして治療後の管理がいかに重要であるかを感じるようになりました。
大学院で歯周病を専門的に学ぶ
九州歯科大学卒業後、私は同大学の大学院へ進み、歯周病について専門的に学びました。
大学院では臨床だけでなく研究にも携わり、歯学博士を取得しました(なお、大学院3年生の時に日本歯周病学会の歯周病認定医を取得しました)。
研究を通して学んだのは、治療には必ず「なぜその治療を行うのか」という根拠が必要だということです。
新しい治療だから良い、高価な材料だから良いということではありません。
患者様の状態を正確に診断し、その方にとって必要な治療を選択する。
現在の診療でも、この考え方を非常に大切にしています。
歯周病専門医としての診療
その後、歯周病治療についてさらに研鑽を重ね、日本歯周病学会の歯周病専門医を取得しました。
歯周病専門医として診療をしていると、軽度の歯周病だけでなく、
「歯がグラグラしている」
「骨がかなり減っていると言われた」
「抜歯するしかないと言われた」
「治療を続けているけれど、なかなか改善しない」
といったご相談をいただくこともあります。
もちろん、残念ながらすべての歯を残せるわけではありません。
状態によっては、無理に歯を残すことがかえって周囲の歯や将来の治療に悪影響を及ぼすこともあります。
だからこそ大切なのは、
「抜くか、残すか」を最初から決めつけるのではなく、まず現在の状態をきちんと診断すること
だと考えています。
歯周病治療は「歯石を取って終わり」ではありません
患者様から、
「歯周病治療って、歯石を取ることですよね?」
と聞かれることがあります。
もちろん歯石の除去は非常に重要ですが、それだけが歯周病治療ではありません。
当院では、まず歯周ポケットの深さや出血、歯の動揺、レントゲンによる骨の状態などを確認し、現在の歯周病の状態を把握します。
そのうえで歯周基本治療を行い、治療後には再度検査をします。
改善したところと、まだ問題が残っているところを確認し、必要であれば歯周外科治療や歯周組織再生療法などを検討します。
そして、治療が終わった後も重要です。
歯周病は再発する可能性のある病気です。
そのため、治療後の状態を長く維持するためには、患者様それぞれの状態に合わせたSPT(歯周病安定期治療)やメインテナンスが欠かせません。
私は、治療すること以上に、治療した歯をその後どう守っていくかまで含めて歯周病治療だと考えています。
「できるだけ歯を残したい」という思いに応えたい
日々診療をしていると、
「できれば自分の歯を残したい」
という患者様の思いを強く感じます。
私自身も、残せる可能性のある歯であれば、できる限りその可能性を検討したいと考えています。
そのためには、歯周病だけを見るのではなく、むし歯、根の状態、噛み合わせ、被せ物、清掃状態など、お口全体を考える必要があります。
場合によっては抜歯が最善の選択となることもあります。
しかし、
「なぜこの歯を残せるのか」
あるいは、
「なぜこの歯は抜歯した方がよいのか」
をきちんと診断し、患者様にご理解いただいたうえで治療方法を一緒に考えることを大切にしています。
このコラムでお伝えしていきたいこと
歯科治療には、専門用語も多く、患者様にとって分かりにくいことがたくさんあります。
診療室で説明をしていても、限られた時間の中では十分にお伝えできないこともあります。
そこでこの医療コラムでは、歯周病を中心に、
「歯ぐきから血が出るのはなぜ?」
「歯がグラグラしても残せる?」
「歯周病で失った骨は戻る?」
「抜歯と言われた歯は本当に残せない?」
「治療が終わったのに、なぜ定期的に通う必要がある?」
といった、患者様からよくいただく疑問について、一つずつ分かりやすくお話ししていきたいと思います。
インターネットには歯科治療に関するさまざまな情報がありますが、このコラムが、皆様がご自身のお口の状態や治療について考える際の一つの参考になれば幸いです。
そして何より、
「自分の歯をできるだけ長く大切にしたい」
と思ったときに、そのお手伝いができる歯科医院でありたいと考えています。
次回予告
次回は、「歯周病専門医とはどのような資格なのか?」についてお話しします。
歯周病専門医は、歯科医師であれば誰でも名乗れる資格ではありません。
どのような研修や試験を経て取得するのか、一般の歯科医師や認定医とは何が違うのか、そして患者様にとって歯周病専門医を受診することにどのような意味があるのか。
できるだけ分かりやすくご紹介したいと思います。